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挑戦ストーリー
CHALLENGE STORY
03
研究員、現場で創薬の種を探すべく、
東へ西へ。

医療現場のニーズに基づく創薬の推進

実験や論文では知り得ない
「種」があるのでは。

「研究所で化合物合成に携わっていた研究員は、ある日、思った。「もしかしたら、実験や論文では知り得ない、創薬の種が現場には転がっているのではないか。しかも、患者さんのニーズに直結した、小野薬品の営業しか知らないような。」そこで、その研究員は手を挙げる。「全国の支店を回って、医療現場の最前線に立つ営業から話を聞く場を持ちたい。」個人のやりたい気持ちに背中を押すのが小野薬品だ。会社からの答えはもちろんOK。研究員は約2年をかけて14支店を訪問した。
その動きが評価され、更なるミッションが研究員に下る。「部署を立ち上げ、研究員が直接現場の医療ニーズを聞き、それに基づいた創薬を推進せよ。」

医療関係者に聞き込みをする日々。

さまざまな分野の研究員7人が組織され、医療現場に聞き込む日々が始まった。研究者たちは、ほぼ飛込みに近い状態で、医師や薬剤師、看護師に精力的に聞き込みを行った。大病院から小さな開業医まで、北は北海道から南は九州まで。メンバーは津々浦々を尋ね歩いた。
プロジェクトのメンバーは、入社以来ずっと研究畑を歩んでいたものばかり。医療現場の最前線から出てくる意見は、全く次元が異なることも多く、戸惑うことも多かった。しかし、彼らの好奇心溢れるマインドから、いくつかの創薬プロジェクトも生まれた。中には、実際に、開発化合物選定にまでいたるものもあった。
それは、もちろん大きな成果である。しかし、それ以上に大きかったのは、医療の現場に直接触れたことだった。メンバーは、このプロジェクトを通じて、多くの気づきを得た。

小野薬品は一つになれると確信した瞬間。

ある研究員は、医師の「患者さんを何とか助けたい」という凄みに圧倒されっぱなしだった。ある研究員は、患者さんのために日々額に汗しながら働いているMRの姿に心を打たれた。そして、MRの多くが小野薬品の研究に誇りを持ち、プロジェクトの成否に一喜一憂していることにも驚いたと言う。
また、別の研究員は、ある化合物のプロジェクトが終了したことを聞いたMRが、研究員以上にショックを受けているのを見た。「薬として世に送り出せるのははるか先であっても、魅力的なプロジェクトを一つでも多く前に進めることで、研究員として会社に貢献できると理解した瞬間です。そして、小野薬品は一つになれると確信した瞬間でした。」

本当に医療の現場を
イメージしていたのかと自問。

プロジェクトを組織した研究員が、最後に語った。「製薬会社で研究員になったからには、ひとつでも多くの製品をつくりたいと思ってきました。寝る間も惜しんで研究に打ち込んできた自負もあります。その結果、幸運にもいくつかの開発化合物を生み出すこともできました。でも、私は、本当に医療の現場をイメージしていたのか。薬が患者さんの役に立って初めて、その見返りとして利益があり、企業はまた新薬の研究ができる。そのサイクルを理解していたのか――医療現場の医師や営業の熱い想いに触れて、真摯に、そんなことを考えさせられたプロジェクトでした。」